一般婦人科疾患
月経前症候群・月経前気分不快症状
生理(月経)は性成熟期の女性にとって、正常であれば必ず訪れる状態です。
月経周期は、妊娠を可能とするために卵巣から産生される女性ホルモンを脳(下垂体)が調節し、ある一定のサイクルを形造って成り立っております。
女性ホルモンは、女性の体の器官(子宮だけではなく、脳や様々な臓器)を調節し、周期的な体の変化を起こします。
そのために月経周期によって、肉体的・精神的に不快な症状が現れる方もおられます。
ただし、このような症状が日常生活に支障をきたすほどつらい場合には、治療が必要です。
月経前の約10日から14日の間の黄体期にそのような症状が現れ、月経とともに消失してしまう場合には、月経前症候群(PMS)と呼ばれる状態や、その中でも症状が重く精神的な症状が強い月経前不快気分障害(PMDD)といわれる状態が考えられます。
月経前の黄体期に以下のような症状がないかをチェックしてみてください。
- 下腹痛
- 腰痛
- 頭痛
- 吐き気
- 下痢・便秘・食欲不振などの消化器症状
- 腹部や乳房の張りや痛み
- 体のむくみ
- イライラ・怒りっぽい
- 気持ちが落ち込む
- 肌荒れがある
※原則的には上記の症状が月経前に出現し、月経後には改善するのが特徴ですが、その時期・程度により他の病気が隠れている場合もありますので、診察後治療が可能かどうかを判断いたします。
性感染症
産婦人科外来で行う性感染症の診療は、無症状の患者様に対する性感染症のスクリーニング検査と、すでに症状がある患者様に対する診断・治療です。
来院時に症状を自覚しておられる患者様は、その症状や診察所見より疾患を診断し、治療という一般の外来診察と同様に行われます。
診断・治療は保険診療となります。
当院では性感染症のスクリーニング検査も行っておりますが、原則的にはスクリーニング検査は自費診療となります。
無症状の性感染症もあります。
一般的には性感染症(性行為によって感染が引き起こされる感染症)の代表的検査はクラミジア(子宮頚部より)、淋菌(子宮頚部より)、梅毒(血液検査)、HIV(エイズ)検査(血液)がありますが、クラミジアや淋菌感染は無症状のことが多く検査を行ってはじめて発見されることも多い疾患です。
さらに尖圭コンジローマやトリコモナスや、肝炎ウイルスの検査も広い意味ではスクリーニング検査に含まれます。
クラミジアや淋菌など、咽頭感染の可能性がある場合には子宮頚部からではなく、咽頭検査が行われます。
尿失禁症
尿失禁は大きく分けると「腹圧性尿失禁」と「切迫性尿失禁」に分けられます。
タイプによって治療法が異なりますので、まずは自分がどのタイプの尿失禁症なのかを知ることが大切です。
以下より、2つのタイプの特徴を紹介いたします。
腹圧性尿失禁
腹圧性尿失禁の場合、お腹に力が入った状態(咳・くしゃみ・走ったり・重いものを持ったり)で尿が漏れやすいですが、安静時には症状が出ません。
女性の骨盤の底にある筋肉(骨盤底筋群)が弱くなり、お腹に力が入る状態で膀胱が圧迫されて尿道から尿が押し出される状態で起こります。
骨盤底筋群が弱くなる原因は、妊娠・出産・老化・肥満・便秘などがあります。
軽い腹圧性尿失禁は骨盤底筋体操や薬の治療をまず行い、症状が重くなると手術を行う必要も出てきます。
また同時に子宮・膀胱・直腸が膣の方に降りてくる性器脱(子宮脱・膀胱瘤・直腸瘤)が合併していることもあります。
婦人科での診断が必要となる病気の一つです。
切迫性尿失禁
切迫性尿失禁とは、トイレに行こうとしたら我慢できず、尿が漏れる状態をいいます。
また、普段安静時でも夜間でも、トイレに頻繁に行きたくなる頻尿も見られます。
切迫性尿失禁は、膀胱で尿を貯めることが難しくなることにより症状が出るため、基本的には薬での治療となります。
※まず自分の尿失禁のタイプを知ることと、他の原因がないか、合併症がないかを診察してもらうことが必要になるでしょう。
それにより治療法を選択することになりますが、女性の場合には子宮の前に膀胱があり、子宮の後ろには直腸があり、それらが直接、膣に連続していますので婦人科受診が望ましいかと思います。