子宮体がん
子宮体がんは子宮体部腔内(子宮内膜)にできるがんで、その原因・種類・性質は異なり、診断法も異なります。
近年、増加傾向にあるがん
以前は、子宮頸がんと比べると日本人には少ない傾向でしたが、最近では食生活の変化など欧米化傾向のためか、徐々にその頻度は増加傾向にあります。
また、閉経前後から閉経後に起こりやすいがんです。
しかし、最近は若年子宮体がん(40歳前)も増加傾向にあります。
多くは卵巣で作られるエストロゲンという女性ホルモンが関与していますが、エストロゲンは脂肪細胞でも産生されるために肥満の方や、コレステロールが高い女性にも起こりやすい傾向にあります。
また高血圧や糖尿病とも関係が認められております。
そのため、乳がんの治療をされた方は、子宮体がんを合併することが多いです。
検査を受けることが望ましいでしょう。
子宮体癌は乳がんや大腸がん・卵巣がんなどとも関係し、遺伝子的にも合併してこれらのがんを起こしやすい遺伝子を持っておられる人が存在することがわかってきました。
したがって乳がん・大腸がんなどの診断を受け治療されたかたも婦人科がんの合併がないかの検診を受けておかれると良いでしょう。超音波検査・細胞診を組み合わせる定期的に婦人科で診察を受けると早期発見が可能です。
早期発見のために検診を
未経産婦に頻度が多くなる傾向にあり、今後検診の対象となる方が増加するかと思われます。
前がん状態は子宮内膜異型増殖症といいますが、子宮頸がんほど一般の健診での検査が広く行われておりません。
これは子宮体がんの細胞診は、子宮頸がんに比べて手技が難しいことが原因の一つかと思われます。
しかしながら、今後さらなる子宮体がんにかかる(罹患率)方の増加が予想されますので、早期発見のためには子宮内膜細胞診に加えて、経腟超音波の検査を行うことが現在のところ有効な検診かと思います。
健康診断ではあまり行われていないために、成人病を有する方はぜひ病院で受診をし、検査を受けられることをおすすめいたします。
このような方は一度、検診を受けてみてください
症状の多くは性器出血ですが、以下のような方は一度検診を受けた方が望ましいでしょう。
- 50~60歳代で出血や帯下の症状がある方
- 女性ホルモンの異常がある方(月経不順や不妊症や閉経が遅いなど)
- 妊娠・出産経験がない方
- 肥満・高血圧・糖尿病などの病気を持っておられる方
また以下の方は定期的な検診が望ましいでしょう。
- 乳がんと診断された方または治療後の方
- 子宮内膜増殖症と診断されたことがある方